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最近、夜の東京の繁華街に出かけると、活気づいているなあと思います。なので、景気も多少は上向いているのかもしれません。その割には、相変わらず苦しいという中小企業の経営者の声が至るところから聞こえてきます。

苦しんでいるのは中小企業だけとは限りません。

フジテレビも大変なようです。

「思い」をベースにテコ入れしたのに

「貧すれば鈍する」ということわざを考える上で、現在のフジテレビは格好のサンプルとなっています。

▼フジ・バラエティ班が「ヘンシン!」に失敗したワケ
http://news.livedoor.com/article/detail/9235914/

僕も一視聴者として、フジテレビにはがっかりしているので、批判めいたことを書かせてもらいます。ヘイト・スピーチにならないよう気をつけますが。

いろいろと手を打つのですが、なかなか好転しないということがよくあります。

フジテレビはまさにそのような状態のようです。

フジは、今回の改編のテーマを「今日よりちょっといい明日 プラス フジテレビ」と発表。その狙いを「テレビを通じ、視聴者の皆さんに何かをプラスすることで、今日よりもちょっといい明日が来るように、そんな思いを込めた」(夏野亮編成部長)としている。

このような「思い」をベースに、様々なテコ入れをしましたが、視聴率は低迷する一方のようです。

何がいけないのでしょうか?

頭だけで自分のことだけを考えている

僕もつい最近、こういう状況に陥りました。

春先から全然仕事が来なくなりました。そこで5月に、自分のミッションや提供できるもの等を見なおして、HPをリニューアルし(このHPではありません)、営業活動をしました。

しかし、仕事が来ない。ついに貯金の底が見えてしまいました。しかたない、この際、ブラック企業でもいいから就職しようと職探しを始めましたが、本当にブラック企業っぽい会社からしか連絡がありません・・・・・・。さすがに腰が引けて、一から考え直す気持ちが湧いてきました。

こうして8月の頭に、自分は本当は何がしたいのかを考えなおしました。そのおかげで、今は順調に仕事が来るようになりました。

何が変わったのでしょう?

5月に打った手は、今総括すると、以下のような間違いを犯していました。

  • 本当にやりたいことではなく、どうすれば儲かるかを一生懸命考えた
  • 頭の中だけで考えたことで、実際にニーズがあるかどうかが実感できていなかった
  • お客様に対して啓蒙の気持ちが強く、役に立ちたいという気持ちや思いやり等が二の次になっていた
  • お客様本位というよりも、立派なコンサルタントとして認めてほしいという気持ちのほうが強かった

これらもやっているときは気が付きません。振り返ると、そうだったなと分かるのです。

2つのシフト

8月の見直しは、以下の点で5月のよりも優っていました。

  • 本当にやりたいことであり、しかもやれる(実績がある)ことに集中することにした
  • 頭ではなく、心に忠実に考えたことで、本当のミッションが見えた
  • まずは、お客様(発注者)に対して役に立ちたいというより思いやりを持とうと考えた
  • 目の前の発注者はパートナーであり、同じ気持ちでミッションを達成する人達だと思うようになった
  • ミッションを、社会的に有意義でかつ自分ができることに設定しなおした
  • 表に出て行くよりも、陰で支えるほうが自分らしいということに気づき、そうすることにした

具体的なことはあまり書いていませんが、大きく2つのシフトがあったことに気づいていただけたのではないでしょうか?

  1. 頭より心へ
  2. 自分のことより相手のことへ

頭でっかちで自分本位だから見てもらえない

貧して鈍しているときは、頭でっかちで自分本位になっています。なんとかこの状況を打開したいということで頭がいっぱいになっているからで、仕方がないことです。

しかし、冷静に考えるとこれではうまくいくはずはありません。実際うまくいかず、もうダメだという状態にまで追い込まれます。この段階で、考えることを放棄して、心の赴くままに進むと、ようやく光が見えてきます(まだ頭で考え続けると、おそらく鬱病のようになってしまうでしょう)。

光が見えた瞬間、感謝の気持ちが湧いてきて、ここでやっと自分本位だったことに気づきます。

「今日よりちょっといい明日 プラス フジテレビ」などというキャッチフレーズに心が入っているとは、とても思えません。プロデューサー、ディレクター、広告プランナーなどが集まって、会議を重ねて出てきた、頭でっかちな言葉だと捉える人が多いのではないでしょうか?

少なくとも、あなたは心を打たれなかったのではないですか?

先のリンク先の記事を読まれた方に質問です。フジテレビの数々のテコ入れを、視聴者本位に感じましたか?

こんな手を打っておけば視聴率が上がるだろうという頭でっかちで小手先の施策に感じませんでしたか?

もしそうでない人が多いのであれば、フジテレビの視聴率はすでに上がっているはずです。

これなくして回復してもまた地獄

言い方はどうでもいいのです。「視聴者を驚かせてやろう」「視聴者を喜ばせてやろう」「視聴者を楽しませてやろう」などという上から目線の言葉でもいいのです。このような気持ちが感じられるなら、みんなもっとフジテレビの番組を見たくなるはずです。

もちろんフジテレビにも、スタッフがこのような気持ちで取り組んでいる番組があり、それはやっぱり視聴率が高いのです。

しかし、局全体の傾向としては、「視聴率アップの方程式」みたいなフォーマットに乗っかるだけ。そのフォーマットも過去の成功体験に囚われた時代遅れなものだったりするので、結果は悲惨なことになる。

頭でごちゃごちゃ考えるのは詳細部分にして、大筋は心(志と言ってもいい)を大事にするのが、業績回復の早道です。相手に対して、心からしたいこと何なのか――まずはここからスタートしましょう。

禁物なのは、一発逆転を狙うことです。儲かるからという理由でやらないほうがいい。やりたいし、できること――多くの場合、それは創業時の初心そのものです――を見つけ出し、それに注力しつつ稼げるやり方を考えてください。

キレイ事に聞こえる部分もあるかもしれませんが、ここを考えずに仮に回復したとしても、今度は悪評が立つだけで、また地獄の苦しみが待っています。

どうすれば心から相手本位の言葉が出てくるのかということを、ライターとしての視点でお話しするセミナーを開催しています。僕のV字回復の詳細もお話ししようと思いますので、興味のある方はぜひいらしてください。