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中小企業経営者や個人事業主、いや大企業であっても発信し続ける――特にネット上で――ということがものすごく重要になっています。

しかし、かくいう僕も2005年に独立する直前からずっとブログやメルマガを書き続けてきたのですが、なかなか効果が出ませんでした。ところが、ようやく身にしみて分かってきたことがあります。

今回は、それをシェアしたいと思います。

不思議なことが起こり始めた

このところネットからの仕事の問い合わせが増えてきています。その面談の時には、必ず「どうやって僕を知りましたか?」と聞くようにしています。

以前は、たとえば(今はなき)誠ブログ(現オルタナティブブログ)の記事を読んで、問い合わせをくださる方が多かったのです。

ところが最近は検索も増えてきました。その中でIT関連、特にビジネス系システムについて書けるライターが少ないということで「ITライター」で検索したという方がいました。その時は3ページ目でようやく出てきたということだったので、SEOを実施しました。

そのおかげもあって、すぐに1ページ目に表示されるようになりました。ちなみに昨日と本日は「ITライター」で1位となっています(SEOについては改めて書こうと思っていますが、僕は時間以外は1銭もかけていません。なお、Googleで普通に検索するとカスタマイズされてしまい、自社サイトが上位に来てしまうことがあります。自社サイトが実際に表示される順位を知りたければ、同じ検索エンジンを使用しているYahoo!で検索するか、ブラウザをシークレット(プライベート)モードにしましょう)

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すると、すぐに仕事の問い合わせがありました。「おお、さっそくSEOの甲斐があったか」と喜び勇んで出かけて行き、同じく「どうやって僕を知りましたか?」と聞いてみました。

すると、「いいえ。月島のやきとり屋『まさみ』の記事で知ったんです」との返事。

僕は、JAGZYという日経ビジネスのサブサイトで「愛を求めて やきとり漂流」という、焼き鳥屋やもつ焼き屋(両方併せて「やきとり屋」と呼んでいます)の取材記事を書かせてもらっていますが、それを見て僕自身に興味を持った人がライターとしてのオフィシャルサイトを見て問い合わせしてくださったということなのです。

しかも、最近それが増えてきています。

内容より人に興味を持って

一見、誠ブログからの問い合わせと似ていますが、誠ブログの時には、まずは記事の内容を見て問い合わせしてくださる人が多かったのです。

しかし、最近は人と形(なり)に興味を持ってから、「なんだ自分の仕事に関連あるじゃないの」と問い合わせをくださる人が増えたのです。

これは、僕にとっては意外な事実でしたが、聞いてみて納得しました。というのは、フリーライターに仕事を発注すると言うのはけっこうリスキーだと言うのです。

難しい仕事だと、最後は逃げるライターや結局編集者が一から手直ししないとものにならない記事を書くライターが多いのだそうです(そういうライターはその後どうするのでしょうか?)。

ということなので、たまたま「しっかりした感じの人」(これは、すみません、僕の評価でないので許してください)が、自分の仕事でも使えそうなら仕事を出すのだそうです。

軸を明確にしてから変わってきている

では、まずは人柄だとか考え方のような所が大切なのでしょうか?

僕は、それはとても重要なことだと思います。特に初めて仕事を出す時には、そのあたりを知りたいという人も多いでしょう。

ただ、人柄とか考え方という言葉では漠然としています。

現時点では、まだ検証しきれているわけではないのですが、僕自身の体験で言えば「軸」を明確にしたのが良かったと思っています。

何度も書いているので聞き飽きている人も多いと思うのですが、僕は昨年の夏にかなりのどん底を経験しました。まったく仕事が来なくなってしまったのです。

その時には、どちらかと言うとコンサルタントとライターの仕事と二股をかけようとしていました。そして、営業的にはより利益率の高いコンサルティングに重点を置いていました。ところがこれが大失敗で仕事がなくなってしまったのです。

そこで自分の実績を良く見直してみたところ、ライターとしての実績のほうが圧倒的だったので、こちらをベースにしようと思ったのです。

ただ、ライターとしてやるのであれば、ライターとしての軸を明確にしないといけないと思いました。そこで、考えたのが「ビジネスライター」という「肩書き」です。

ただ、ビジネスライターだけでは分かりにくいので、もう少し説明を加えたのが、当サイトのトップページにある図なのです。

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(現在では、さらに尖らせるために(SEOもかねて)「ITに強いビジネスライター」と名乗っています。)

この軸を打ち出してから、問い合わせの傾向が変わってきたのです。なので、先ほどまだ検証できていないと書きましたが、何らかの関係はあると思っていいのではないでしょうか。

できることを世の役に立つことに変換して軸にしよう

「やきとり漂流」の記事を仕事につなげようという考えは、実はありません。やはり営業的にやきとりの記事に頼って、ITライターとして売り込むのは変だし、リスクも大きいからです。しかし、実際にはつながっています。

これは、やきとりの記事も、この軸から外れていないからだと思うのです。

やきとりの記事は、グルメレポートにも見えます。実際、何がおいしいかというようなこともしっかり書いています。しかし、テーマは違う所にあります。なぜこの店に常連が付くのか、というのが本当のテーマなのです。ですので、「ビジネスライター」の仕事と言っていいと思うのです。

そうでなければ、ただのグルメレポートです。そこからIT関連のライティングの仕事が来るはずはありません。

軸を持つことが重要なのは、何となく理解いただけたでしょうか?

では、どういう軸を持てばいいのでしょうか?

それはやはり世の中の役に立つことです。上の図で言えば、「日本を活性化させることに貢献する」ということです。

しかし、それだけを言っても説得力はありません。僕の場合で言えば、「企業や個人のあまり知られていないがすばらしいビジネス上の取り組みを世の中に紹介する」ための取材力と文章力があるし、実際にそれをやってきた実績もあるわけです。

その「できること」を「世の役に立つこと」に変換できたので説得力があり、実際に仕事に結びつくということなのです。

これは、あなたにも必ずあることだと思います。ただ、変換がうまくいっていないということはあるかもしれません。実際多くの人は(以前の僕も)、理念や理想とできることの間の結びつきが今一つ明確に説明できていないように思います。

この結びつきをはっきりさせる作業が、軸を作るということなのです。

難しいことかもしれませんが、自分あるいは自社の実績が世の中のどういう所で役に立つのかを突き詰めて行けば答えはあるはずです。

軸を見つけ出し、その軸から外れない発信を続けて行きましょう。そうすれば、予想もしていなかった展開がある――と僕は思います。