2014111802

「メイン」は「メーン」に直されてしまう

「メイン」を「メーン」と書くのは僕も気持ち悪い。世間でも気持ち悪がる人は多いようで、だから、記事ではなるべく「メイン」という言葉を使わないようにしています。何しろ「メーンなんて間違いでしょう?」なんてことを指摘する(僕から見たらおっちょこちょいとしか思えない)コメントが付いたりするからです。

小説やエッセイあるいは書籍だと、著者の表記をかなり尊重してくれるけれど、記事ではそうはなりません。必ず、「メイン」は「メーン」に直されてしまいます。法人向けの原稿でもそうです。

なぜそうなるかというと、みなさん共同通信社の『記者ハンドブック』というのを持っていて、それで校正するからです。

日経だと「日経表記」というのがありますが、中身は『記者ハンドブック』とほぼ同じです。なぜなら、大昔に文部省とその取り巻きが作った(ちょこちょこ細かい改訂もあるかもしれないが)いろいろな表記規則がベースだからです。元ネタが一緒なんですね。

なので、彼らは常用漢字も死守します。「改ざん」とか「進ちょく」なんていうのも、僕は嫌で嫌で仕方ないのだけど、こうされてしまいます。なので、この手の「元」漢字熟語も最近はできるだけ言い換えるようにしています(漢字が多ければ賢いという考えではないので)。

漢字の話に行ってしまうと、「本字歴史的仮名遣ひ」派の話にまで拡がってしまうので、話を戻します。「メーン」の件です。

英語の発音がこうだからではない

僕がこれを気持ち悪く思うのは、巷(※)の人たちがいうような「元がmain[mein]なのだから、メインが正しい」などという理由とは全く違います。

そういうことをいう人には、「ベトナム」も「ヴィエトナム」などと書くべきだし、「ゴール(goal)」は「ゴウル」か「ガウル」でしょ?とツッコミたくなります。どちらにしろ、正しい英語の発音とはまったく食い違っているのだから大して意味がありません(とはいえ、国際化を目指すのであれば、なるべく英語に近いカタカナ表記というのもありかなとは思うのですが、これはまた別の話)。

「メーン」が気持ち悪いのは、いまや「メーン」と発音する人は、プロレスのリングアナぐらい。「本日の、メーーン・エベント(そう、イベントとも言わない)」でしか聞くことはないからです(最近プロレスを見ていないので、違ってたらごめんなさい。僕が高校生ぐらいのときにはこうでした)。

昔は、僕のおじいさんの世代以上の人は、みんな「メーン」と言っていました(使う場面は少なかったけど)。文部省(当時)が表記規則を決めたのはそんな時代だったんですね。

ところが、なぜか今では「メイン」が定着してしまった。「ゴウル」は定着していないのに。そう、みんなローマ字(これも「ロウマ字」でしょ?とかいう人がいそうで怖い)に近い読み方しているということです。”goal”は何となく伸ばす感じに見えますものね。

結論。日本語の発音が変わったのだから、それに合わせるべきなんです(※※)。でないと、違和感を覚える人が多い。

それとも文科省の人たちは、今でも90代前後の人にお伺いを立てないといけないんでしょうかね? あり得るだけに怖い。

※ツールでチェックしたら、これも常用漢字ではないのでアウトでした・・・
※※とはいえ、助詞の「は」や「を」をいまさら発音通りにされるのも、違和感ありまくりなのでやめてほしい

(追記)ちょっと違う話だけど、「コンピューター」も『記者ハンドブック』ではこうです。IT関係の人がすぐに「コンピュータ」でしょうと言ってくるのだけど(僕も業界にいたときは信じて疑いませんでしたが)、これは昔、まだ1文字あたりの通信単価が今とは比べ物にならないほど高かった頃に、それでもネットを使うIT関係者たちが広めた「短縮表現」だという説を聞いたことがあります。さもありなんです。あとはIBMのマニュアルのせいかも。どうせなら「コンピュタ」にしとけばよかったのに(笑)。これなら、業界用語とすぐに分かるから。