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私が営業支援EXPOで一番感じたことは、「便利なものはたくさんあるが、きっと多くの会社が導入しそこねて、お金をドブに捨てるんだろうな」ということでした。

昨年(2014年)、ビッグサイトで開催された営業支援EXPOを見学した際に私が感じたことです。

これが、東京IT新聞での「IT活用で営業を強くする!」の連載の動機になりました。

なぜなら、同連載の第1回にも書いた通り、

私は2003年から04年にかけて、会社員として全社の営業を統括する部門にいました。

統括といっても偉そうに営業に号令するような立場ではなく、営業をサポートする役割です。そのときにSFAの導入責任者に任命されました。

結果は、いろいろと言い訳もあるのですが、大失敗でした。私はそれで会社を辞め、転職することになった

からです。

連載が終わったので

同連載が、約1年12回で完了しました。

この機会に振り返ることにしました。

東京IT新聞にはバックナンバーのページがないので、自分でアーカイブを作りました。

【アーカイブ】東京IT新聞 <IT活用で営業を強く>

タイトルを並べるとこのようになります。

第1回:いきなりの導入はなぜ失敗するのか

第2回:営業ITツールの導入はなぜ失敗するのか

第3回:改革の秘訣は「小さく始め、素早く成功」

第4回:「小さく始める」と「考えずに動く」は違う

第5回:皆が動き出すビジョンはこうして作る

第6回:ターゲティングの第一歩は自社の価値探し

第7回:もう「ターゲティング」に縛られていてはダメ

第8回:スケジュール管理や日報と勘違いしないこと

第9回:「営業プロセス」を定義しなければ売れない!

第10回:営業目標クリアへの第一歩は仮説から

第11回:営業帳票はこの4つだけでいい

最終回:営業におけるマネジメントとは?

準備が9割

簡単に振り返ります。

第1回から第2回にかけては、私が営業ITツールの導入に失敗した理由を書きました。

営業ITツールを販売しているのはIT企業だが、彼らはITの専門家であり、営業の専門家ではない。そのコンサルを受けても、営業のしくみができないので失敗する――このようなことを実感を込めて書きました。

第3回と第4回は、社内改革の主要成功要因である、「スモールスタート、クイックウィン」について書きました。小さく始めて、早く成功する――これによって、少しずつ味方を増やしていくことが、社内改革においては重要なことですが、私はこれを知らず、社内で孤立を深めて行ったのでした。

第5回から最終回までは、実際に営業ITツールを導入する手順について書いていますが、営業ITツールを使う場面が出て来るのは、最後の2回だけです。しかも、当面はExcelでも構わないと書いています。

いったい何の連載だったんだと訝しく思う人もいるでしょう。しかし、これが真実なのです。

営業ITツールを導入しようと思ったら、準備が9割。その準備が導入作業よりもはるかに難しい。こういうことを明らかにした連載でした。

営業ツールだけではなく

僕は転職1回を含めて、17年半IT業界で働いていました。

その後も2年間、ユーザー企業に常駐して、プロジェクトマネジメント他をサポートするITコンサルタントを務めていました。

さらに2007年からは継続的に、仕事としてIT導入事例を書いています。

要するにIT導入に関しては、平均以上に知っている人間です。その僕が断言します。営業ツールだけではなく、ITツールの導入に関しては、すべて準備が大切です。

IT導入に成功している会社は、導入前にしっかりと考え抜いています。

また、導入する際にも小さな範囲から始めて、徐々に拡大するという手法を取っていることが多いようです。

営業用にスマートデバイスの導入を検討している会社も多いかもしれません。これについては、成功している会社は、僕の取材した限りではみな、「スモールスタート、クイックウィン」でした。

いや、ITツールだけではありません。あらゆるツールがそうだと思います。

便利なツールに飛びつく前に、

  • 自分たちは何のために、誰のためにこの仕事をしていて、
  • 仕事はどのようなプロセスになっていて、
  • 業績目標を達成するには一人一人がどのような行動をどれだけやればいいか

を考えることです。