こんにちは。
ITに強いビジネスライターの森川滋之です。
フリーライターも個人事業主、すなわち「一人会社」ですので、全方位的なビジネススキルが必要です。そこで必要な能力を会社組織になぞられて、製造力・営業力・事務力・経営力としました。
今回はその中の事務力について説明します。
会社はいろいろやってくれた
この講座を読んでおられる方は会社員が多いでしょう。会社を辞めてから気づくことは、会社というのはいろいろやってくれていたんだなあということです。
まず税金の支払いです。報酬が多かったり医療費控除があったりで確定申告をした経験がある方もおられるでしょうが、ほとんどの方は税金を納めることの面倒さは実感したことがないでしょう。
その他、年金の積み立ても健康保険の支払いも会社がやってくれる上に、半分は負担してくれます。
要するに社会の一員として必要なことは会社が全部事務手続きをしてくれて、さらに福利厚生まで用意してくれています。辞めてからつくづく会社のありがたさに気がつきました。
フリーライターとして、扶養家族控除の上限以上に稼ごうと考えるのであれば、税金や社会保険料の手続きや支払いはすべて自分でやることになります。
確定申告も以前は白色申告であれば簡単でしたが、白色申告でも帳簿を提出しなくてはいけなくなったため、手間は青色申告と変わらなくなりました。そのため、控除がある青色申告に移行するライターも増えています。
私自身はコンサルタントとして独立したため、当初から青色申告をしてきました。そのため慣れていますが、慣れない人は税理士に依頼しているケースもあるようです。
事務力の要素
事務力として必要な能力は下記となります。
- 確定申告とそれに伴う帳簿づけ
- 社会保険料の支払い
- 見積書・納品書・請求書の作成
- 契約
必要なレベルと身につけ方
お金があれば確定申告と帳簿づけは税理士にお願いするという手もあるでしょう。私自身は、やよいの青色申告というソフトウェアを使って自力で処理しています。最近はクラウド上で簡単に帳簿作成ができるツールも出てきています。
帳簿づけは決して難しくありません。法人だと多少たいへんですが、個人事業主は覚えることはあまりありません。ですので、青色申告に関する本を1冊買って勉強すれば、誰にでもできるようになります。仕訳がわからないときは、ネットで調べれば必ず答えがあります。
社会保険料は、自動引き落としにすればいいだけなので、銀行で手続きの仕方を聞いてください。
見積書・納品書・請求書は、一度雛形を作っておけばいいだけです。会社にいる間にフォーマットを調べておいて、Excelなどで作っておくといいでしょう。
現時点での傾向では、見積書を紙で送ってほしいという会社はほとんどなくなりました。執筆で納品書を求められることはほとんどありません。請求書は郵送してほしいという会社はいまだに多いですが、最近はPDFが増えてきました。
したがってPDFを作成することが必須になりました。Excelの新しいバージョンであれば、PDFとして出力する機能がありますし、PDFを作成できるフリーソフトも数多く存在します。これらの使い方を必ず覚えてください。
契約書は必ず結ぶということではありませんが、会社によっては業務委託契約者や秘密保持契約書などの締結を求められます。これらは顧客側で作成してくれますので、読んで捺印し、金額によっては印紙を貼ればいいだけです。
しかし、IT企業などでは、システム開発の業務委託契約書がベースになっていることが多く、ときどき原稿執筆にふさわしくないものもあるので、よく読んで、問題があれば問い合わせしておくほうがいいでしょう。
とは言っても、住宅や駐車場の賃貸契約を結んだことがある人なら大丈夫なレベルです。