僕は、IT企業の顧客導入事例を50本以上書いてきました。
企業のPR広告なので基本的に無署名であり、自分が書いたことを勝手に公開するのもご法度ですが、下の画像にリンクした記事は、例外的にお客様のご厚情で僕のHPからのリンクを許可していただいているものです。
両面印刷して真ん中で折りたたむことを前提としたPDFなので、若干読みにくいですが、よかったらこちらを見ながら、今回の記事を読んでください。
定量的な効果はキャッチーだが……
ITに限らず「目に見えない」商品--たとえば接客業など--においては、顧客事例はきわめて効果の高い広告となります。いや、目に見える商品でも、やはりお客様の声や使用した感想は効果があります。
よくある勘違いは、定量的な効果にこだわることです。
定量的な効果、たとえば「導入により100万円のコスト削減」といった文言は、タイトルや見出しなどでは効果を発揮します。読みたい気になるからです。「Ri-Turban’sの法則」でいえば、「i」(Interest(興味を持ち))の部分です。
しかし、これをメインにコンテンツを組み立ててもうまくいかないことが多い。
僕自身が、売れない営業をやっていたときに痛感しました。定量的な効果が大事だろうと、それを強調した製品説明資料を作ったのに、まったく仕事がとれなかったのです。
協業していたコンサルタント氏がある日こう言いました。「森川さん、もっとしみじみとした事例を作らないと……」
当時はまったく意味が分からなかったのですが、今では分かります。もっとお客様側の気持ちになって資料を作らないと響かないということです。心に響かなければ意思決定にはつながりません。
お客様の気持ちを考えると……
定量的な効果を書くことは、特にBtoBでは必要なことだと思います。顧客事例にするからにはある程度高価格の商品であるはずで、だとしたら購入には稟議書が必要になります。定量的な効果は稟議書には必須の項目です。
しかしながら、それだけでは「買いたい」にまでは繋がりません。高い買い物をするお客様が真っ先に考えることは「後悔したくない」なのです。ここがポイント。
だとしたら何が響くのか?
それは、商品の選択ポイントと選択理由です。つまり、どういう観点で商品を探していて、なぜその商品を買うおとにしたのかです。これが一番重要です。
選択ポイントと選択理由を明確にかつ魅力的に
事例でなくても、「あなたはなぜこの商品を買わなければいけないのか?」を明らかにするのが広告の基本です。事例であれば、この部分をお客様に語ってもらわないと意味がありません。
上で紹介した事例でも「4. バックアップサービス選定のポイント」という節に明確に書いてあります。
しかしながら、商品を売り込みたいばかりに、その特長や効果ばかりを書いている広告では忘れがちな観点です。
貴社の事例が、今ひとつ購入や問い合わせに結びついていないとしたら、この部分が書いてあるか、書いてあるならば魅力的に書かれているかを、もう一度チェックしてみてください。