2015020201

インタビューに苦手感のある人の多くは、どんな質問をしたらいいのか分からないのかもしれません。

しかし、そんなに身構えることはないのです。

ポイントは一つだけ。相手に自由に話をしてもらうようにするだけです。

●僕はインタビュー時にほとんど質問しない

「聞き上手」と聞くと、ほとんどの人は「質問上手」を思い浮かべるかもしれません。

たしかに質問上手であれば、それに越したことはありません。

だからこそ、阿川佐和子さんの『聞く力』が大ベストセラーになったのでしょう。

逆にいえば、質問と言うのはそれほど難しいことなのです(阿川さんの本も質問そのものの話はそれほど書いていないのではないでしょうか)。

なので、僕はインタビューのときに、ほとんど質問をしません。

事前に質問の項目をまとめているということも大きいのですが、それにしても大きな質問が5~8個ぐらい書いてあるだけです。そんなメモのような質問票で、1~2時間取材してきます。

質問の仕方も、かなり素人くさい感じです。

「まず、最初に御社のアピールポイントというか、そのあたり、えーっと、読者に改めて認識してほしいこととか、読者が知らないようなことみたいなのをお願いします」

書いてみるとスムーズな感じもしますが、テープなどを聞き直すと、実際はもっとたどたどしく、文法もあやしい。

それでも、こんな質問で相手は、10分ぐらい語ってくれます。

●大切なのはリスペクトとアイスブレイク

実は、先ほどの質問ですが、あえて書いていないことがあります。

分かるでしょうか?

「実は、HPを拝見してきているので、ある程度は存じ上げているのですが、重なってもかまいませんので」という一言を「まず、最初に」の前に添えています。しかも、手元ある、HPの内容を印刷した10数枚の紙をホッチキスで留めたものを示しながら、こういうのです。もちろん、マーカーで強調したり、書き込みの入ったものです。

僕の場合、取材が仕事なので、これはポーズではなく実際にやっています。ですが、時間がなければポーズだけでもいいのです。

相手に対するリスペクトがあれば、事前に調査するのが当たり前です。事前に調査するとさらにリスペクトが湧いてきます。

また、このような資料を用意するのはアイスブレイクにも役立ちます。これを見た瞬間に、相手は「ああ、ちゃんと調べてからこの場に臨んでいるのだな」と気づき、それだけで心の氷をかなり溶かしてくれることでしょう。

事前調査は、相手の強みや得意分野を知ることにもなり、そこにフォーカスを当てた質問をすれば、その内容が本題に関係なくても、アイスブレイクの効果があります。

この数回強調してきましたが、結局リスペクトとアイスブレイクが最も大事であり、これさえできていれば、拙い質問に対しても一生懸命答えていただけるのです。

●質問よりも「傾聴していること」を伝える

リスペクトという意味では、もう1つ大切なことがあります。これは決して忘れてはいけません。

何でしょうか?

それは、「傾聴」です。

いくらアイスブレイクでラポール(打ち解けた雰囲気)を作り、事前調査でリスペクトを示しても、質疑応答の際に上の空で聞いていたら、相手は話す気をなくすでしょう。

「きちっと話を伺っていますよ」ということを伝えなければいけません。

傾聴のテクニックは、いろいろあります。

笑顔、うなずき、リアクション(ミラーリングやペーシングと呼ばれるもの。今回は割愛します)、オウム返し、確認などです。

全部大切なのですが、特に大切なのは「確認」です。

要所要所で、「今おっしゃったのは、××××ということですよね?」と確認します。

これをすると相手は、「ちゃんと聴いてるな」と感じ、ますます舌が滑らかになります。

ただ、まとめるのは難しいことなので、これは普段から長い文章を要約するなど、ある程度の訓練が必要だと思います。

頓珍漢なまとめをすると逆効果になりますので。