2019年4月30日(祝) 雨 79.4 2785

昨日から大島に来ている。平成最後の日と令和最初の日を大島で迎えることになった。

2日目はあいにくの雨。だが精力的に活動した。

大島は基本的にクルマで行けない。大島行きのカーフェリーがないからだ。

どうしてもクルマを持ち込みたかったら、貨物船で輸送するしかないが、4万円以上かかるらしい。往復で10万円近くなる。数カ月住むならまだしも、2泊3日程度の旅行でクルマを持ち込む者はいない。

クルマで移動したい人はレンタカーを借りることになるが、ゴールデンウィークに借りようと思ったら、かなり前から予約しないと難しい。ちなみに3月中旬にはもう空きがなかった。初日にダメ元で聞いたら、軽トラならあると言われた。まあそれでもよかったかも。

だがレンタカーを借りると、あっという間に島の観光が終わる。なので、1泊2日までの旅行向けかと思う。

こういう事情があって、大島はゴールデンウィークでも渋滞しない。バスの移動もとてもスムーズだし、時刻表も正確だ。しかも、ゴールデンウィークだというのに、あまり混んでいないし、混みそうだと臨時バスも出るサービスぶり。

結論、2泊3日の大島はバスに限る! ただしその場合には、3,000円の2日乗車券を買うことをお勧めする。1日乗車券が2,000円のところ、2日で3,000円だからかなりお得であり、どちらか1日で三原山、もう1日で島を1周すれば必ず元が取れる。

私たちは事前の情報収集不足(何しろ計画も立てていない)で、それを知らず、少なからず損をしてしまった。なお1日乗車券も2日乗車券もバスの中で買える。

大島の路線バスは、元町港を起点とする3系統がある。1系統は、昨日乗った三原山に向かうもの。次に岡田港を経由して、都立大島公園へ行くもの。これは時間帯によっては大島空港に寄る便もある。もう1つは、波浮港を経由して、大島陸上競技場へ行くもの。

路線バスとしてはもう1系統あり、これは大島公園と三原山を往復するもの。

その他にゴールデンウィーク限定で、大砂漠ラインという大島公園と波浮港見晴台を結ぶラインがある。島の東側には基本的に住む人がいないので、普段は走っていないのだ。

調査の結果、以上のことがわかったので、今日は重要な見所を押さえつつ、バスで大島を1周することにした。

まず向かったのが大島公園。かなり大きな動物園があり、しかも無料。レッサーパンダとワオキツネザルが目玉なのと、アルマジロとオウムに触れるのがウリ。

最初に猿山に行くのだが、何もいない。雨なので厩舎に閉じこもっているのだろうか。レッサーパンダは屋内飼育なので見ることができたが、これ以上は見られないと思ったら、カメ園がある。よし、これを見て帰ろうと思ったら、実はここでアルマジロを抱っこし、オウムを手に載せることができたのだった。

ちょっと気分が良くなって、よくよく見渡したら、けっこう動物がいることが分かった。猿山の裏にもバーバリシープの群れがいた。結局動物園を全部見て回ることになり、極めて満足した。短気になってはいけないとあらためて思い知る。

大砂漠ラインで波浮に向かうバスは、1日1本しかない。それまで時間が持たないと思っていたので、当初はで岡田港に戻り、それからさらに元町港に戻って陸上競技場行きに乗って、波浮港で降りようと思っていた。だが動物園でけっこう時間が潰せたので、もう椿はほとんど残っていないが、広大な椿園を散策し、さらに一般の公園もブラブラしてから、大砂漠ラインに乗り込んだのだった。

終点の1つ前に筆島というバス停がある。妻は変わった形の岩が大好きで、それが見たいと言う。雨の中、他の乗客は誰も降りなかった。昨日と似たシチュエーションで一瞬不安がよぎる。

だがこれが大正解。写真では小さいが、実にすばらしい眺めだった。

筆島から波浮港見晴台まで3kmちょっと。文学の散歩道と名付けられた道を歩く。こういう道は雨のほうがいい。木々も多く、森林浴のようだった。

波浮港見晴台。これも晴れだったらなあと思う景観だが、晴天にはない風情を感じた。

見晴台のそばの食堂で昼ご飯にしようかとも思ったのだが、クダッチ(バス停は下地と当て字していたが、地元の人はクダッチと呼ぶ)まで坂を下りて、大関寿司に寄る。

かなり混んでいたが、30分ぐらいでお寿司が出てきた。頼んだのは特上だが、この上に2つランクの高いにぎりがある。特上で十分おいしかった。

地魚はもちろんおいしいのだけど、大島はどこに入ってもマグロがおいしく、大トロが普通に出てくる。ルートがあるのだろうか?

波浮港と近所の町並みを見たくて、さらに港のほうに降りていく。風情がたまらない。明日から令和だが、ここは昭和で止まってしまったかのようだ。

雨だったので、先に来た陸上競技場行きのバスに乗り、そのまま折り返させてもらった。1日乗車券の強みだ。

元町港に着いたのは、昨日三原山から下りた時刻と同様。なので昨日と同じ16時発の大島公園行きのバスに乗り、宿に帰る。宿の最寄りのバス停は都立大島高校。

入浴して、テレビをつけたら天皇陛下の最後のお言葉。平成も終わるのだなあ・・・。安倍総理のくどくどしいあまり心に残らない言葉(しかも最後にかんだし)と比べ、陛下のお言葉は簡潔で素晴らしかった。

今日も元町で夕食。昨晩よりさらに下ったところ、元町港のすぐそばにある南島館。

おばちゃん3人で切り盛りしている、地元の人が集まるアットホームなお店。セルフサービスで注文を書いたり、お皿を下げたりする(これは自主的にだが、見るに見かねて)ところも含めて、アットホーム。

刺盛がおいしいのは、大島では当然のようだが、ここはそれに加えて貝がおいしい。きれいに取り出すのが楽しいメツカリ(めっかりと発音するようだ)、バター炒めにするとおいしいセセリ、刺盛に入っていたトコブシ、どれも絶品。アシタバのおひたし、絹さやの玉子とじ、オニオンツナといった家庭料理もおいしかった。

旅行者なので飲み残したらボトルを持って帰っていいかと聞いたら、OKしてくれた。そこで、お勧めの大島産焼酎「御神火(ゴジンカ)」の芋を入れて、水割りで飲んだ。これがまたクセになる味。

飲み干すつもりだったが、ちょっとだけ残ってしまい、持って帰ることにした。

今日もさむかわ食賓館によって、明日の朝食と大島牛乳アイスを買う。濃厚!

振り返れば30年ちょっと、おそらく一番長く生きたことになるだろう平成時代も今日で終わり。本当にいろいろなことがあった。

結婚して、独立もして、どん底に落ちて死にたくなったこともあって、それも何回もあって、でも妻の助けがあり、仕事をくださる方々もいて何とか持ちこたえてきた。いいことも実はたくさんあった。

そして平成最後の日を、こんなに楽しく過ごせたのだ。終わり良ければすべてよし。そして一緒にいてくれた妻に最大の感謝!