僕は、「勉強」と「努力」をネガティブ・ワードだと思っている。

「勉強」は「強いて勉める」という意味、「努力」は「努めて出す力」という意味だ。どちらも無理をしている感じがする。

僕は無理が嫌いだ。無理をするとどこかが壊れる。無理を続けていたら、心が壊れてしまった――というのが僕の反省だ。

「何を心が弱いことを言う」と叱責する人もいるかもしれないが、人間どこか弱いところがあるもので、それがたまたま心だっただけのことだ。他人に非難される筋合いはない。

だいたい人に勉強しろとか、努力しろとかいう人を僕は嫌いだ。こういうストレートな言い方ではなく、勉強しないとこうなるとか、努力しないとああなるとか気づきを促すような言い方も嫌だ。

こういうことを言う人は、努力は善、努力しないことは悪とまではいわないが愚劣ぐらいに思っている。

こういう人がいるから、「今後は努力します」みたいな言い訳がまかり通ってしまう。言い訳だから努力はしないのだけど、努力好きな人は「努力する」というだけで満足してしまう。

まあ確かに僕も会社員時代には、こういう人たちが言うところの「勉強」や「努力」をした。しかし、僕の中では愉しいので仕事そっちのけで取り組んでいたら、仕事にも役に立ったというのが本当のところなのだ。

こういうのを「勉強」とか「努力」とか言わないだろう。

ネガティブ・ワードと思うので、ポジティブ・ワードを探している。

しかしなかなか見当たらない。「インプット」と「試行錯誤」などの言い換えもあるが、愉しい感じがあまりしない。

僕も、取材のあとに「ありがとうございました。勉強になりました」ということがある。これはネガティブな意味はなく、本当に学びがあったと思うからだ。しかし、できれば勉強以外の言葉を使いたい。