2014年8月31日(日) 曇り 79.0 1772

朝、とりあえず散歩に行き、猛ダッシュで推敲にとりかかる。

11時過ぎに完了。原稿と一部資料を編集長に送付。すかさずお礼のメールが届く。編集長も心配だったと思う。ホッとしたのだろう。

8月の中旬に初めて会い、1週間ぐらい後に急に人手が足りなくなったのだろう、8月末までに書籍72ページ分の原稿を、資料を参照しながらまとめてくれという話。契約書を結ぶでもなく、僕のリスクは失敗したら二度とこの会社からは仕事が来ないということぐらい。費やした10日間はいたいが、編集長のほうがリスクは大きいはずだ。絶対のリリース日がある案件だからだ。

まあ、僕にやらせている間に自分の分を書き、僕が駄目だったら自ら書くつもりでいたのかもしれないが、それでも冒険だろう。

この仕事、聞けばどの出版社か分かる人もいるかもしれないが、僕のほうからは伏せておく。企業とタイアップして、その企業のノンフィクション・ドキュメンタリーを1冊の本にするというものだ。社内ユースではなく店頭に並ぶ本である。

まあ、企業の悪口は書けないが、少なくとも編集長が感動するような歴史を持つ会社にだけオファーしているようではある。事例取材だって企業の悪口は書けないは一緒だし、日本の製造業の製品開発や企業の再建物語は実際すばらしい話が多いので、僕は良い仕事だと思う。

提灯記事には世間は敏感だから、企業のプロモーションのために作ったものがそれでは逆効果になる。プロジェクトXのように事実を積み上げて書くことになる。事実の取捨選択はもちろんあるが、嘘は書けない。なかなか難しい仕事なのである。

事例インタビューで慣れている面もある。ただ、IT導入事例は、せいぜい10年ぐらいの歴史を追えばよく、また取材相手もせいぜい2、3名ぐらい。一緒にインタビューをしているので、矛盾があればその場で解決する。

今回は、今年発売50周年になる有名商品の物語。僕は最後の執筆段階で仕事をもらったので取材はしていないが、大量の資料をもらっている。たぶん、社内に残っていた資料を預かっているのだろうけど、これが人によって話がほんのわずか異なる。特に日時などはいい加減で、同じ話が違う時期になっていたりする。

違うことが同じことのように見える場合もあるし、同じことが違うことのように見えることもある。まるでパズルなのだ。

しかし、よく読み込み、歴史年表風に並べてみると、だんだん全体像が見えてくる。そうなると早い。ただ、早とちりしていたことが書いてから発覚することもあり、そうなるとその部分は書き直しだ。

どうですか? 大変そうでしょう? でも、得てしてこういう仕事のほうが面白いものです。実際面白かったので、経過をまとめておこうと思う。

8月20日(水) 編集長のアシスタントからメール。急な仕事ができたので、今日の夕方にでも来てくれないかということに。仕事は喉から手が出るほど欲しかったので、5時に行く旨即答したが、添付の資料を見て大変な仕事だと認識。少しどんより。断ろうかとも思ったが、編集長と会って話し合い、条件も悪くないので引き受けることに。このときに9月以降の仕事も1本もらう(こちらは3ヵ月間で本1冊!)。

21日(木) 昨日の打ち合わせで、明日夕方までに資料を精査して用意しておくということになったので、夕方主催セミナーの開始前に取りに行く。

22日(金) 編集長がA4・1枚にまとめてくれた資料の使い方を見ながら、ザッと資料に目を通す。とりあえず1日かけて資料を読み込む。全体のストーリーは大雑把だがつかめた。

23日(土) 書き始めようと思ったが、資料の中に出てくるできごとの前後関係・因果関係がつかめない。細かいところで食い違いや言葉足らずがあるのだ。そこで年表を作って、パズルを組み立てていくような作業を午前中に。午後は、書き始めることができたが、数ページしか書けず、前途多難を予感する。

24日(日) 大きなブロック(章や節とは違う、内容的な塊)が4つある。順にページ数の計画が12、12、36、12だ。ようやく、最初のブロックを書き終えた。

25日(月) この仕事に伴い、キャンセル可能な仕事はすべてキャンセルしたが、月1回の定例コンサルティングだけはキャンセルしなかった。なので、午前中に執筆し、午後はコンサルティングをする。

26日(火) この忙しいのにコナツの便検査で動物病院に行く必要が出てきて、ちょっとだけブルー。なんとか、2つ目のブロックを書き終える。このあとが山場の36ページ。だが、少しずつペースが上がってきたので、心はだいぶ軽くなってきた。

27日(水) 10ページほど書く。ページ数だけでいえば残り40ページ足らず。

28日(木) ある人の人物を肉付けする資料が欲しくなり、ネットで調べたところ、その人の話が載っている本があることだけ分かる。図書館の検索システムで市川市中央図書館に存在することが判明、急いで借りに行く。午前中はほぼ潰れたが、本を借りたおかげで2ページぐらいは飲用で埋まり、12ページほど書き終える。資料のどこに何が書かれているのか把握できてきたのが大きい。残り20ページ足らず。

29日(金) 最大のブロックを書き終える。残り12ページ。

30日(土) 最後のブロックは、ほぼ資料をまとめるだけだけの作業だったので、夕方4時頃までにとりあえず書き終えることができた。推敲は翌日に回し、布団に倒れこんでしばし仮眠。

31日(日) 午前中に推敲を終えて、編集長にメールで原稿を送る。

世の中良く出来ているもので、数ヶ月前にこの仕事をもらっていたら、間に合わなかっただろう。これも社名は言えないのだが、今飛ぶ鳥を落とす勢いで伸びている某ITコンサルティング企業のプロジェクトストーリーを受注していたからこそできた仕事だ。

初校を小説風に書いたところ、かなり評判が悪かった。そこで、社内のレビュアーの意見に素直に耳を傾けたところドキュメンタリー調が求められていることがわかり、必死に書きなおしたのである。この経験がなければ、今回はなれない文体で大変な目にあっていたに違いない。量もコンサルティング企業のほうは小冊子50ページ分ということでほぼ近く、とにもかくにもこの経験が先にあってよかったなあと思うのである。

天の配剤である。

以前は、自分にはノンフィクションは無理だと思っていた。大量の資料と取材をまとめるということに尻込みしていたのだが、今回実際の現場の一端を見せてもらって、やれるのではないかと思うようになった。実際、次はほぼ一人で1冊書く仕事ももらっている(これも、くれたほうの勇気がすごいなあ)。

仕事の幅がまた広がった。

メールを送ってから、急いで昼食を用意し、ヨメと一緒に飲みながらDVD鑑賞。

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先週は、執筆に追われていたので、2週間ぶりということになる。

夕方には寝てしまい、23時50分頃、目が覚めてしまった。