(大意)天下を覆うほどの功労も、驕りの気持ち一つで台無しになる。天まで届くほどの罪悪も、悔いる心一つで消滅する。 |
前半はなんとなく共感しても、後半はできないという人がほとんどでしょう。
『菜根譚』を著した洪自誠は、中国風にいうと隠者、日本風にいうと世捨て人です。日本だと、吉田兼好や鴨長明がこれにあたります。
世を捨てているので、誤解を全く怖れません。なので、読んでいる人をハッとさせるためなら、かなり極端な言い方も辞さない。
つまり、これもどんな極悪非道の凶悪犯でも許せということではない。
「天まで届くような罪悪を犯した人間でも悔いているのなら許してやるべきだ。なのにあなたは、ちょっとしことで人を許さないというようなことを重ねていませんか?」と我々を問い詰めているのです。
「許す」という気持ちで片付いてしまうことや、かえって世の中が楽しく見えることは結構あるというのが、最近の心境なのですが、どうでしょう?
怒れば世の中が良くなるなら怒るべきでしょうが、「こんなことで怒っているようならちょっと付き合いづらいな」と思われているだけの人が多いという気がします。
え?お前も?
僕は怒ってはいないんですけど、笑っていないとどうも恐い顔らしく、突然謝られたりしてびっくりすることがあります。
文章もたぶんそうなんでしょうかねえ、怒ってないのに怒っているふうにとられることがしばしばで、不徳の致すところです。