(大意)天地は静かで動かないが、陰陽は休むことなく動き留まることは少ない。太陽と月は昼も夜も運行しているが、その法則は永遠に変わらない。だから君子は、暇な時にも喫緊の心構えが必要だし、忙しい時にもゆったりした心のゆとりが必要だ。 |
「忙中閑あり」と言います。安岡正篤の言葉ですが、彼も『菜根譚』を読んでいたはずですから、この条の影響かもしれません。
重要度と緊急度の組み合わせで、自分のタスクを分類するという仕事術があります。
重要かつ緊急な仕事を優先するのはもちろんですが、ふだんは重要でないが緊急な仕事を優先しがち。それをできるだけ重要だが緊急でない仕事を優先するようにし、重要でも緊急でもない仕事はできるだけやらないようにする。こういう仕事術です。
この「重要だが緊急でない仕事を優先」するというのが、「忙中閑あり」に通じると以前から思っていました。
上の仕事術の要諦(エッセンス=最重要ポイント)は、すでにお分かりでしょうが、「重要でないが緊急な仕事」をできるだけ作らないことにあります。このような仕事の代表例は、トラブルやクレーム、つまり不始末への対応です。もう一つは、仕事が取れないのが分かっているのに訪問するなどムダな仕事です(アポが入っているので「緊急」になってしまいます)。
「忙しい」が口癖の人の殆どが、このような仕事に追われているだけなのです。これらは、「忙中に閑」を作って、根本的な対策を立てなければなくなりません(この対策を立てる仕事はもちろん「重要だが緊急でない仕事」の1つです)。
まずはムダな仕事を探しましょう(必ずあるものです)。それをやめて「重要でないが緊急な仕事」をなくす方法を考えましょう。
そうすれば「君子」に近づけるはずです。